痔ろうの症状・原因・治療法

痔ろうの手術

 

前述の通り、痔ろうは薬では治癒しないので、基本的には手術が必要と考えてください。手術には2種類あります。

 

ひとつは括約筋といっしょにトンネルを切除する「開放法」で、括約筋を切らずに、トンネルだけをくりぬくのが括約筋温存手術となります。どちらの手術もイボ痔(内痔、外痔)や切れ痔と比較すると、傷も深くて大きくなり、手術が大掛かりになります。これはイボ痔や切れ痔が、括約筋より浅い層にできるのに対して、痔ろうは括約筋よりも深い層にできるのが理由です。

 

痔ろうは重症度を1から4型まで区分されており、1型は「開放法」で外来手術も可能です。2型でも単純なものは「開放法」で、外来手術か短期入院で済みます。 複雑な2型、3型となると「括約筋温存手術」になり、2週間~3週間の入院が必要となります。 4型は約1ヶ月間の入院を必要とすることもあります。

 

4型の手術は肛門科でも最高難易度の手術となり、しっかりした手術のできる施設は全国的にもあまり多くありません。4型は時に痔ろうガンを合併しますが、これは極めて稀となっています。

 

痔ろう手術の大体の目安は以上です。開放手術はシンプルで再発が少ないのですが欠点もあり、それはある程度は肛門がゆるくなるということです。但し、失禁する程ではないので、日常生活には支障は少ないと思います。 一方の括約筋温存手術は括約筋を切らないので肛門がゆるくなることはありません。

 

深い2型、3型、4型は開放手術をすると肛門機能の低下が大きいので、通常は括約筋温存手術が行われるわけです。しかし、再発を繰り返すと温存手術が困難になり、開放手術が行われる場合もあります。